2016年12月02日

奥原希望涙の途中棄権 右肩痛フルショットできず

<バドミントン:全日本総合選手権>◇1日◇代々木第2体育館◇女子シングルス2回戦

 女子シングルスでリオデジャネイロ五輪銅メダルで昨年覇者の奥原希望(21=日本ユニシス)が涙の途中棄権で敗退した。2回戦で鈴木温子(25)と対戦。大会前から右肩痛を抱えてフルショットができず、第2ゲームの途中で所属先の小宮山監督からストップが掛かった。両膝の半月板損傷を乗り越えて五輪メダリストになったが、またもケガに見舞われた。2年ぶりの優勝を目指す山口茜(19)と五輪女子ダブルス金メダルの高橋礼華(26)松友美佐紀(24)組は順当に勝ち進んだ。

 限界だった。第1ゲームを落とし、後のない第2ゲーム。右肩痛を抱える奥原は相手に翻弄(ほんろう)され、何もできない。2-11。所属先の小宮山監督から途中棄権を促された。「すごく悔しい。最後まで戦いたかった」。悔し涙を流しながらコートを去った。五輪後の9月のヨネックス・オープンから右肩に痛みが出た。一時は腕を上げられないほどの痛みに襲われる。世界ランク7位。10位以内の選手には出場義務のある国際大会がある。簡単には欠場できないため、病院での検査を中断。リハビリを続けながら転戦していた。今大会は日本最高峰で来年の日本代表の選考がかかる。医師からスマッシュを打たないなどの条件付きで強行出場していた。

 13年1月に左膝、14年4月に右膝の半月板を損傷し、2度の手術を乗り越えた。小学生のときは足の皮がむけるまで縄跳びをしたり、足のすねが疲労骨折するまで試合に出続けた。「昔から手が抜けず、限界までやる」と父圭永さん。世界のトップ選手では小柄な156センチ。妥協なき姿勢が、ケガにつながった。

 試合後の会見では「バドミントンができない時が、またくるとは」と涙で声をつまらせた。目標は東京五輪金メダル。「リオまでもそうだったが、東京までの4年も順風満帆にはいかない。壁を乗り越えて頑張っていく」。実績から来年も日本代表に選ばれることは間違いない。名前通り「希望」を失わず、まずは治療に専念し、再び限界を超えてみせる。【田口潤】

 ◆奥原の五輪後 五輪、世界選手権に次ぐ格付けの世界バドミントン連盟主催の年間シリーズ、スーパーシリーズ(SS)6大会に出場した。そのうち10月のデンマークと11月の中国の大会(スーパーシリーズプレミア)は世界ランク10位までの選手・ペアの出場が義務付けられ、欠場すると罰金。SS12戦の上位8人(組)が、12月14~18日のファイナル(ドバイ)に進出。昨年のファイナル女子シングルスで初出場で優勝した奥原は最新ランキングで7位から11位に落ち、2年連続の出場を逃した。  

Posted by zenjiro at 10:06Comments(0)スポーツ